断片化した記憶の写真をドラッグして、一つのアルバムに並べ直していくパズルゲーム「記憶の誕生日」。操作のわかりやすさと、記憶特有の曖昧さを両立させた画面設計が評価されている。UI/UXデザイナーの砂原 律さんに、その狭間の作り方を聞いた。
「迷わせる」と「迷わせすぎない」の境界
「パズルゲームのUIって、基本は迷わせないことが正解とされがちなんですけど、このゲームはテーマが『曖昧な記憶』なので、迷いそのものを演出に組み込む必要がありました」と砂原さんは語る。写真の並べ替え操作自体は直感的なドラッグ&ドロップにしつつ、正解の配置が一つに定まらない場面をあえて残した。
「操作を迷わせるんじゃなくて、意味を迷わせたかったんです。手が迷わないから、心の方で迷える。」
ボタン一つに込めた"揺らぎ"
画面上の確定ボタンには、通常のUIにはないわずかなアニメーションの揺らぎが加えられている。「記憶って、思い出した瞬間にちょっとずつ形が変わっていくものだと思うんです。ボタンがピタッと静止しているより、少し呼吸しているくらいの方が、このゲームには合っていました」。
チーム内で意見が割れた「呼吸するボタン」
この細部へのこだわりは開発チーム内でも議論を呼んだという。「押しにくくならないか」という懸念も出たが、試遊会で操作ミスが増えないことを確かめたうえで、最終的にはテーマとの一貫性を優先する形で残された。
操作性の先にある体験
「記憶の誕生日」をプレイしたユーザーからは「アルバムを完成させた瞬間に泣いた」という声が多く届いているという。「UIって、気づかれないくらい自然に馴染むのが理想と言われますけど、このゲームに関しては、操作している感覚そのものが記憶をたどる体験になってほしかった。プレイヤーの指先まで含めて、物語の一部にしたかったんです」と砂原さんは話を結んだ。
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